研究課題
In vitro簡易水系実験による網羅的な吸着薬物のスクリーニング実験に使用する膜は陰性荷電の強いAN69膜、荷電のほとんどないpolysulfone膜、cellulose triacetate膜を使用した。各種中空糸膜を約5 mmに裁断し、膜面積15 cm2に相当する量の膜素材に臨床使用濃度に調整した薬物のリン酸緩衝生食液(PBS)10mLを入れたマイヤーフラスコに膜素材を入れ、Magnetic stirrerで撹拌しながら37℃で30分incubateし、薬物を入れた直後とincubate後1分、2分、5分、10分、30分の薬物濃度を測定することによって薬物吸着率を算出し、吸着薬物のスクリーニングを行った。超小型dialyzerを用いた牛血清中薬物濃度の変化要因の解明については実験系は牛血清を1-compartmentとみなし、牛血清量(Vd)、dialyzer膜面積、血流量などを臨床の1 / 100になるような実験系を作製する。超小型透析器を、透析医学会で標準化された牛血清100mLに臨床使用濃度に調製した薬物を添加し超小型透析器内を満たす。次に血流量36 mL/hr、濾液流量1.8 mL/hrとして定速循環濾過させた。本法において、循環血清中の薬物濃度の低下は薬物の透析膜への吸着を反映する。またこの実験系に透析液を流量5mL/minで流せば、吸着+拡散・ろ過の原理による臨床透析モデルに近似した。薬物添加後0、2、5、10、20、30、60、120分後にdialyzer前の循環血清から、20分後にはdialyzer後の循環血清および濾液からもサンプルを採取し、薬物濃度を測定する。その後、牛血をヘマトクリット値32%、血清総蛋白濃度6.4 g/dLに調製した擬似透析患者血液を用いて同様の実験を実施することによって透析膜と薬物の相互作用について検討した。
2: おおむね順調に進展している
AN69膜への吸着実験においては種々のアミノグリコシド系の吸着力に薬物による差が認められた。この理由として各薬物の分子構造及び陽性荷電強度との関係を調査中である。超小型ダイアライザーでは1/100のスケールで作成しても、製造工程の違いから1/200の性能しか得られていないため、今後、補正する必要があるが、血流量、透析膜、膜面積などを変化による影響が明らかにされつつある。
AN69膜への薬物吸着については重篤な中毒症状が起こりやすく、かつ陽性荷電薬物であるダビガトラン、コリスチンなど重篤な副作用を起こしやすい薬物についてもスクリーニングし、吸着の認められた薬物については超小型ダイアライザー(ミニモジュール)を用いてより、臨床に近い条件で吸着性能を調べ、さらに床研究を実施する。またCHDF中の薬物除去についての検討はわが国で大幅に遅れており、CHDF施行条件によるCHDF時の薬物療法に関する臨床検討及び基礎研究を推進し、患者の腎機能及びCHDFの施行条件が分かれば投与設計できるようなノモグラム、あるいは数式を完成させたい。ただし腎機能を正確につかむには蓄尿が必要だが、最近では難しくなりつつある。
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