研究課題
強い陰性荷電を有する透析膜のAN69®に対し陽性荷電を有するアミノグリコシド系抗菌薬のアルベカシン(ABK)はin vitro実験においても、臨床検討においても速やかに吸着除去され、これらの陽性荷電薬物の中毒治療、あるいは適正投与に貢献できることが明らかになった。バンコマイシンもわずかに吸着するあが、メロペネムは全く吸着しなかった。タンパク非結合型分率(fu)が高い、分布容積(Vd)の逆数が小さいことが透析で除去されない要因であるため、fu/Vd は薬物除去率に関わる因子の中で最も高い相関を示す。正確な除去率を表した文献値とfu/Vd に血流量、透析時間、透析膜の種類によって補正した値の間の相関性はr=0.89 にまで向上させることができたが、透析性の予測式として用いるにはさらなる検証が必要でああるため、in vitro実験によって特に透析の除去に伴う追加投与量の情報の必要なβラクタム系抗菌薬の除去特性について調べた。その結果、血流量、透析膜面積、透析時間、透析膜性能によって除去率が変動することが明らかになり、これらの予測式に適切な補正をすればより予測性が向上することが示唆された。無尿ラットを作成し、超小型透析器を用い、薬物の透析性に関わる臨床試験の代わりにラットで代用できる可能性について検討したが、高カリウム血症、アシドーシスにより死亡しやすいことから透析条件や食餌を変えることによって延命に成功した。これにより、簡便、安価、且つ正確に薬物の透析性について詳細に検討できる可能性が示唆された。またラットの透析モデルの確立により他の実験への応用の可能性も期待される。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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