研究課題/領域番号 |
22590137
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90057365)
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研究分担者 |
佐治木 弘尚 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50275096)
中村 光浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30433204)
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キーワード | マイクロドーズ / 薬物血中濃度モニタリング / LC-MS/MS / MALDI-TOF/TOF / 重水素化内部標準物質 |
研究概要 |
近年、無作用量(薬効発現量の1/100を超えない用量又は100μgのいずれか少ない用量)をヒトに投与するマイクロドーズ(MD)臨床試験が脚光を浴びている。MDを薬物療法開始前に実施することにより"患者の究極の薬物動態学的情報"を得ることが可能となる。本研究の目的はMD手法を薬物血中濃度モニタリングに対して応用しテーラーメイド医療の精度を飛躍的に上ることにある。 平成23年度は、MDに有用なマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)-TOF/TOF(Ultraflex TOF/TOF、Bruker Daltonics社))による測定方法の開発を試みた。薬物血中濃度モニタリング対象薬物である抗てんかん薬クロバザムおよびその代謝物N-デスメチルクロバザムをモデル化合物として検討を行った。内部標準物質として申請者らが合成した重水素標識化合物を用いた。抽出方法として固相抽出(Oasis HLB、Waters社)、マトリックス溶液には2,5・ジヒドロキシ安息香酸を用いた。コントロール血漿中で1-100μg/mLの範囲で良好な直線性(r^2=0.992)が得られた。ラット肝ミクロソームを用いたクロバザム代謝実験でN-デスメチルクロバザムの生成が定量できたことから、MALDI-TOFの高い質量精度に基づく測定法が有用であることが示された(第21回日本医療薬学会年会にて発表)。 平成24年度は、液体クロマトグラフィー(LC)の優れた選択性と高い質量精度を兼ね備えた液体クロマトグラフ/イオントラップ飛行時間型質量分析計(LCMS-IT-TOF)をMDの血中濃度パラメータおよび代謝プロファイルを算出に応用し、その超高感度測定系が臨床応用可能であることを実証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度に、ハイスループットカラムによるLC-四重極タンデム型質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた定量法、および重水素標識化合物による内部標準物質合成法を確立した。平成23年度は、LC-MS/MSに比して極めて高い質量精度をもつ融LDI-TOF/TOFによる薬物およびその代謝物の定量法を開発した。MDによるTDMへの臨床応用可能性を示し学会発表を行った。平成24年度は、高い定量感度および質量精度を兼備するLCMS-IT-TOFおよびLC-MS/MS法を開発し動物実験等に応用する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最大の技術的課題は、MDに応用可能な生体マトリクス中の超高感度、高選択性を有する薬物濃度定量法にある。この目的を達成するために、申請者はMS測定技術に着目し、研究実施機関に有するLC-MSIMS、MALDI-TOF/TOFおよびLCMS-IT-TOFを用いる。
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