研究課題
動脈硬化症制圧のため新しい標的を確立することが重要である。スフィンゴシン1-リン酸 (S1P) は血管障害時の内皮修復過程に重要な役割を担う。本研究では、新たなS1P供与体を創製することで初期動脈硬化症の先駆的治療方法の開発を試みている。平成24年度は軽微な障害として喫煙者で禁煙前後の血漿S1P濃度の変化と内皮機能の変化の関連を調べ、また前年度に新規S1P供与体として開発した人工HDL粒子の生理活性の詳細を評価した。(1)血漿S1Pの解析と患者が保有する心血管疾患危険因子の関係の解析平成22年度からの臨床研究を継続した。同意を得た喫煙者21人で採血後血管内皮機能を測定した。生活習慣改善と禁煙指導を行い8週後に再検査を行った。血漿S1P濃度およびS1P誘導体のジヒドロスフィンゴシン1-リン酸 (DHS1P)濃度を蛍光標識-HPLC法で測定した。禁煙指導前後で血漿S1P濃度に有意な変化は見られなかった。DHS1P濃度は有意に低下した。ニコチン代謝生成物であるコチニン濃度が8週後に有意に低下し禁煙に成功した11例で血漿S1P濃度に変化は見られなかったもののDHS1P濃度は有意に低下した。コチニン濃度が低下しなかった群ではS1P濃度、DHS1P濃度とも変化は見られなかった。内皮機能を反映するperipheral arterial tonometry (PAT) ratioは禁煙成功群で有意に増加したが、禁煙非成功群では変化がなかった。スフィンゴ脂質は内皮障害を反映する可能性が示された。(2)新たに創製されたS1P供与体(金ナノ粒子)の生理活性の評価平成23年度までに作成した粒子径約20nmに制御した金ナノ粒子1個は50分子のS1Pと20分子のApoA1を結合している。この人工HDL粒子はマウスでLPS誘導性の大動脈のPAI-1発現を低下させ血管炎症抑制に有用である可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Cardiology
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