研究課題
アラキドン酸代謝物であるエポキシエイコサトリエン酸類(EETs)、ジヒドロキシエイコサトリエン酸類(dHETEs)を、より高い正確度、精度で同時定量するため、これまで行っていたLC-MS/MSによる定量方法を若干変更した。再度、測定法のバリデーションを行った結果、各エイコサノイドにおける検量線の相関係数は0.972~0.999、回収率は95.2~118%、日間誤差は16.7%以内、日内誤差は6%以内となった。アラキドン酸を代謝するシトクロムP450(CYP)酵素のうち、CYP2C8*1のリコンビナント酵素(rCYP2C8*1)を用いて、各種アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARBs)のアラキドン酸代謝阻害について検討した。その結果、ロサルタン、テルミサルタン、イルベサルタンによる強い代謝阻害が認められた。昨年報告したように、rCYP2C9*1においては、テルミサルタン、ロサルタンにおいて強い代謝阻害が認められた。したがって、2つの酵素を強く阻害するテルミサルタン、ロサルタンでは、アラキドン酸からのEETs生成が低下していることにより心保護作用が減弱し、副作用である心血管系イベントが発現しやすい可能性が示唆された。より生体内に近い条件で、ARBsによるアラキドン酸代謝阻害を検討するため、ヒト肝ミクロソーム(HLMs)を用いたインキュベーション実験を行った。各ARBsによる阻害強度の順番は、rCYP2C9*1を用いたときの結果と同じとなった。カンデサルタンにおいては、添加によりEETs生成速度の上昇が認められた。そこでEETsを基質としたインキュベーション実験を行ったところ、カンデサルタン添加によりEETsの残存量が有意に増加した。この理由は明らかではないが、カンデサルタンが、EETsをdHETEsに代謝する酵素であるエポキシドヒドロラーゼを阻害する可能性が考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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