研究課題/領域番号 |
22590147
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
福島 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (00272485)
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研究分担者 |
西口 慶一 東邦大学, 薬学部, 助教 (60459823)
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キーワード | 統合失調症 / D-キヌレニン / 代謝 / ケタミン / D-アミノ酸酸化酵素(DAAO) / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
平成23年度においては、申請書に記載した統合失調症モデルラットの一つであるケタミン処置ラットを作製し、下記1~4の結果を得た。 1.D-アミノ酸酸化酵素(DAAO)の阻害剤であるMPCをラットに投与し、血漿中MPC濃度を調べた結果、コントロール群に比べて、ケタミン処置群では有意に高くなっていた。 2.上記MPCを前投与したコントロールラットにD-トリプトファン(Trp)を投与した結果、MPCのDAAO阻害効果によって、ラット血漿中D-Trp濃度が著しく上昇した。一方、ケタミン処置ラットでは、MPC前処置による影響がほとんど見られなかった。この結果より、ケタミン処置ラットでは、上記MPCによるDAAO阻害効果が減弱している可能性が示唆された。 3.ラット脳マイクロダイアリシスにより、ケタミン処置ラットでは、D-Trp投与後の脳内キヌレン酸(KYNA)の生成が、コントロールラットに比べて多くなっていた(未発表データ)。これにより、統合失調症の病態時では、D-TrpからD-キヌレニンを経て、NMDA受容体のアンタゴニスト作用を示すキヌレン酸を生成し易くなっていると思われた。 4.D-キヌレニンを基質として、生成したKYNAの蛍光を指標とする新規DAAO活性評価法の開発を行い、論文投稿した。現在、追加実験を行っているが、この方法でケタミン処置ラット脳各部位のDAAO活性を評価する予定である。 このほかにも、ケタミン処置ラットにおける脳各部位、肝臓、腎臓におけるDAAOのmRNA発現をリアルタイムPCRにより現在検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算内の額で、概ね研究が遂行され、下記の12に述べているように成果も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度は、査読有りの雑誌論文9件、平成23年度も査読有りの雑誌論文に9件投稿し、公表されている。これらの論文の内、海外の研究グループから既に文献引用されている論文もあることが分かり、反響があったといえる。しかし、当該科研費により得た研究成果の内、未発表のデータが幾つかあり、今年度(24年度)での成果と併せて、更に論文投稿を進めるべく、努力する。
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