研究課題
今年度はこれまでに開発したT細胞のPD解析法の有用性について検討した。(1)Cyclosporine A(CSA)服用腎移植患者15名の移植前および移植後(3週間~4年)において、免疫抑制薬に対する感受性をT細胞増殖を指標として解析し、移植前後での変化の有無を調べた。(2)74名のCSA服用腎移植患者[拒絶反応(n=16)、感染症(n=15)、臨床所見なし(n=43)]の感受性試験をレトロスペクティブに実施し、臨床所見との関連性を検討した。(1)CSAのT細胞増殖におけるIC50値は移植前後で65±39 ng/mLと68±35 ng/mL、bottom値(最小増殖率)は30±16 %と33±17 %で変化は認められなかった。(2)Cytomegalovirus(CMV)/ Varicella zoster virus(VZV)の再活性化とCSA高感受性群(bottom<25%)、T細胞性急性拒絶反応とCSA低感受性群(bottom≧25%)の有意な関連性が認められた。一方、抗体関連型拒絶反応を引き起こす可能性のある新規HLA抗体産生とCSA高感受性群との有意な関連性が認められ、その多くはCMV/VZVの再活性化を起こしていた。今回の結果より、CSAに対するT細胞の感受性は免疫抑制薬の服用により変化しないことが示唆された。CMV/VZVの再活性化、急性拒絶反応の発症および新規HLA抗体産生などの臨床症状とCSAのPDパラメーターとの関連性が認められたことから、PD解析法の有用性が明らかとなった。これまでに開発したB細胞およびT細胞のPD解析法を用いることで、抗体関連型拒絶反応のハイリスクであるABO血液型不適合移植やHLA抗体陽性(クロスマッチ陽性)移植における免疫抑制薬の選択や、慢性拒絶反応の予防などに関する有用な情報を提供できる可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Xenotransplantation
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