当該年度においては、まず、生分解性のマイクロニードルとしてヒアルロン酸由来のマイクロニードルを選択し、その有効性ならびに安全性について検証した。また、モデル薬物としてインスリンを選択し、ヒアルロン酸由来マイクロニードルにインスリンを含有させた製剤を調製し、その有効性についてもin vitroならびにin vivo両実験系で検討した。 まず、ヒアルロン酸マイクロニードルは皮膚挿入後、体液により速やかに溶解し、薬物を皮膚内で放出、拡散することが明らかとなった。また、本マイクロニードルは、一時的に皮膚のバリアー機能を低下させることが認められたが、テープストリッピングに比べ皮膚に対する刺激は顕著に少なく、安全性が高いことが実証された。また、in vitro皮膚透過性実験において、インスリンの皮膚透過性は、マイクロニードルの適用によりインスリン水溶液に比べ、顕著に増大し、またラグタイムも短縮されることが明らかとなった。また、こうした作用は適用するインスリンの投与量に依存することが認められた。さらに、in vivo経皮吸収実験において、糖尿病ラットにおける血糖値はインスリン含有マイクロニードルの皮膚適用により顕著に低下すると共に、インスリンの血漿中濃度は本マイクロニードルの適用により顕著に増大することが確認された。 以上のことから、本マクロニードルはペプチド性医薬品の経皮吸収改善にきわめて有効であり、インクレチンへの応用が期待できることが示唆された。
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