研究概要 |
【目的】第2世代抗精神病薬(SGA)投与により発症するメタボリックシンドローム(MS)の発症機序について、レプチンの役割に焦点を当てて解析を行う事とする。特に、SGAの中でもolanzapineは他の薬剤に比べてMS発症作用が強く、risperidoneはolanzapineより低いものの肥満の副作用が観察される。他方、近年開発されたaripiprazoleはMSをほとんど発症しないと報告されており、抗精神病薬の違いによるMS発症の違いについても機序の解析を行う。 【結果】本年度は、作用機序を解明する準備段階として(1)ヒト唾液からのストレス反応性因子およびMS関連遺伝子の定量条件の確立を行った。ストレスモデルとして鍼灸施術患者を用い、唾液からアミラーゼ、コルチゾール、IgAの定量法を確立した。またmRNAを分解なく回収し、レプチン受容体であるOBRb遺伝子の定量を行った。以上の結果から安定した脂質関連遺伝子測定法を確立し、今後の患者の遺伝子発現量解析のための基礎技術を確立した。(2)In vitroのモデルとして肝癌由来株HepG2,脂肪前駆細胞3T3L1,神経細胞種PC12を用いた実験系を構築した。また本研究用に、医薬品からの抗精神病薬の抽出を行い、解析対象の抗精神病薬であるオランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールの原末をそれぞれ94.5%, 39.5%, 83.8%の収率で回収した。
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