研究概要 |
分子カプセル・超分子素材などと呼ばれるシクロデキストリン(CyD)は、1976年にプロスタグランジンE類の可溶化や安定化に応用されて以来、現在までに数十品目の医薬品製剤に国内外で実際利用されている。本研究では、現代の様々な医療ニーズに対応するため、CyDのユニークな包接機能を利用して、製剤化に工夫を要する薬物の処方改良および剤形変更に関するプレフォーミュレーション研究を実施し、医療経済の面からも有用なスーパージェネリック製剤を設計する基盤を構築する。そこで本年度は、モデル薬物に苦味の強い抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン、セチリジン、エピナスチンなど)および代表的なヒスタミンH_2受容体拮抗薬であるファモチジンを用いて、各種シクロデキストリン(β-CyD、SBE-β-CyD、CM-β-CyDなど)添加による苦味の低減、可溶化、安定化などの製剤特性改善を企図し、患者に優しい経口固形製剤の最適処方設計に関する基礎資料を収集した。なお、苦味や服用感の評価は、成人ボランティアによる官能試験と理化学的試験(味センサ、粒度分布測定など)を並行して実施した。CyDと薬物との水溶液および固体状態における複合体形成は、溶解度法、各種分析法(UV, CD, NMR,粉末X線回折,熱分析など)を用いて検討し、所期の目的を達成した。
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