研究課題/領域番号 |
22590164
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
上釜 兼人 崇城大学, 薬学部, 教授 (90040328)
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研究分担者 |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 助手 (40454954)
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キーワード | シクロデキストリン / 両親媒性製剤素材 / 包接複合体 / クロルプロパミド / 可溶化 / フラーレン / 粒子径の制御 / スーパージェネリック製剤 |
研究概要 |
分子カプセル・超分子素材などと呼ばれるシクロデキストリン(CyD)は、1976年にプロスタグランジンE類の可溶化や安定化に応用されて以来、現在までに数十品目の医薬品製剤に国内外で実際利用されている。本研究では、現代の様々な医療ニーズに対応するため、CyDの特異な包接機能を利用して、製剤化に工夫を要する薬物の処方改良および剤形変更に関するプレフォーミュレーション研究を実施し、医療経済の面からも有用なスーパージェネリック製剤を設計する基盤を構築する。 前年度は、親水性CyD誘導体を用いて経口固形製剤の製剤特性(安定性、服用性など)の改善を行ったが、本年度は、両親媒性CyD誘導体(HP-β-CyD、HB-β-CyD)を用いて、(1)内用製剤中における主薬の溶解性、分散性の改善ならびに(2)分散系製剤の製剤特性の改善(凝集抑制、粒子径の制御など)を行い、高齢者・小児・障害者に優しいスーパージェネリック製剤の構築における基礎的資料を収集した。(1)に関しては、モデル薬物に難水溶性の経口血糖降下薬クロルプロパミドを用いて、各種シクロデキストリン(β-CyD、HP-β-CyD、HB-β-CyDなど)添加による可溶化などの製剤特性改善を企図し、患者に優しい経口固形製剤の最適処方設計に関する基礎資料を収集した。(2)に関しては、難水溶性のフラーレンの分散性、凝集性の改善を企図して、HP-β-CyDとのナノ粒子形成を確認し、安定なコロイド分散系水溶液処方を構築した。 なお、本研究で使用した新規機能性素材であるHB-β-CyDのユーニークな物性並びに包接能に関する基礎的資料を収集し、クロルプロパミドの多形転移の制御が可能なことも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、スーパージェネリック製剤の開発に不可欠な機能性素材として期待される両親媒性シクロデキストリンの物性や包接能などの基礎的性質を明らかにすることができたことは大きな収穫であった。また、それらの特徴を今後の高付加価値製剤の設計に活用するための手がかりも得られた(フラーレンのナノ粒子化、難水溶性薬物の結晶形態の制御など)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で末着手の課題は、シクロデキストリンによる外用剤および口腔内崩壊錠の物性改善に関する検討である。最近我々は、回転粘度計を用いて疎水化ヒドロキシプロピルセルロース(Sangelose[○!R])の準粘性挙動を制御可能なことを見いだしたため、外用剤の使用性改善に利用する欝画である。さらに、この現象を口腔内崩壊錠の嚥下特性の改善に応用し、高齢者・小児・障害者などの患者に優しいスーパージェネリック製剤の開発に利用する計画である。
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