研究概要 |
体性感覚は動物個体において外環境および個体内部を最も広範囲かつ直接に感知する感覚システムであり、(1)侵害受容性、(2)機械受容性、および(3)固有感覚性め3つに大別される。申請者らはこれまでに、転写調節因子Runx1,3欠損マウスの解析から、脊髄神経節および三叉神経節に存在する(1)侵害受容性、(2)機械受容性、(3)固有感覚性の3つの感覚ニューロンの分化においてRunx1,3が重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。しかしながら、各感覚ニューロンが末梢の各感覚受容器(感覚受容部位)および中枢の特定領域へ投射する神経回路形成に関わる分子や特異的な感覚刺激の入力を行なうための受容体の発現制御に関わる分子機構は全くの不明である。本研究はRunx1,3が発現を制御する分子を明らかにし、各感覚ニューロンの発生・分化に直接関与する分子の同定および機能解析を行う。昨年、固有感覚性DRGニューロンの発生に重要な時期である胎生13.5日においてRunx3欠損マウスDRGと野性型マウスDRGから抽出したRNAをもちいてDNAマイクロアレイ解析を行なった。本年度は更に12.5日においてRunx3欠損マウスDRGおよびE12.5 Runx1マウスDRGより抽出したRNAを用いてDNAマイクロアレイ解析を行った。現在、RT-PCR法および、in situハイブリダイゼーション法を行ない組織レベルでの遺伝子発現の解析を順次行なっている。また、Runx1,Runx3プロモーターGFP発現BACトランスジェニックマウス作製を進めている。
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