(1)脾臟に発現する遺伝子のcDNAクローニングとその発現パターン解析 脾臓発生への関与が示唆される転写因子のニワトリ相同遺伝子(Hox11、Nkx3.2、Barx1、Pbx1、Tcf21、Sox11、WT1)のcDNAをPCRによりクローニングした。得られたcDNAを用いて、艀卵3~8日目のニワトリ胚に対して凍結切片でのin situ hybridizationを行った。Hox11、Nkx3.2、Barx1、Tcf21は4日目から、Pbx1、Sox11、WT1は5日目から発現が見られた。このうちHox11、Tcf21は内部間充織に、Barx1はmesotheliumに発現するなど、時間・空間的な発現制御を示唆する結果が得られた。 (2)脾臓原基の細胞増殖、細胞死、細胞骨格および細胞外基質の動態解析 脾臓原基の細胞凝集や組織構築を観察する目的で、細胞骨格および細胞外基質の分布を可視化するための抗体を検討し、アセチル化チューブリン、I型コラーゲン、フィプロネクチン、ラミニンについて使用可能な抗体を同定した。 (3)脾臓発生と血管形成との関連 脾臓の細胞分化や形態形成に対する血管および血管内皮細胞の関与を推測するため、これらに結合するLens culinaris agglutinin(LCA)を用いて胚の血管分布を観察した。艀卵5日目までに蛍光標識LCAのシグナルが脾臓原基内に観察されたことから、脾臓形成の初期過程から血管が脾臓原基に取り込まれることが確認された。
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