研究課題/領域番号 |
22590177
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤倉 義久 大分大学, 医学部, 教授 (10165368)
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研究分担者 |
北村 裕和 大分大学, 医学部, 助教 (70115559)
伊奈 啓輔 大分大学, 医学部, 准教授 (20203193)
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キーワード | ホルムアルデヒド代替液 / 親水性高分子モノマー / ピロリドン / 病原微生物不活化 / 残留モノマー定量 / 組織固定 / 臓器保存 |
研究概要 |
ホルムアルデヒド(FA)代替液として親水性高分子モノマーの一種であるピロリドン(Py)が使用できないか検討した。まず必要条件として1)病原微生物不活化能の検討、2)残留モノマーの定量を中心に行った。 1)病原微生物不活化能の検討 (1)細菌:グラム陽性球菌の代表で黄色ブドウ球菌、同桿菌で芽胞形成菌である枯草菌、グラム陰性桿菌の大腸菌についてin vitroの抗菌試験で検討した結果、各々GI50(50% Growth Inhibition)値は黄色ブドウ球菌:0.69%、枯草菌:1.30%、大腸菌:0.64%であった。グラム陰性球菌のナイセリア属(淋菌)、グラム陰性マイコプラズマ、グラム不定性抗酸菌についてGI50値を調べている。 (2)ウイルス:1本鎖RNAでエンベロープを被っている狂犬病ウイルスに対しPyによる不活化試験の結果、1%濃度のPyで完全不活化されることが明らかになった。ウイルスは変異株が多く、全てを検討することができないが、2本鎖DNAでエンベロープを持たないアデノウイルスに対する不活化試験を行っているが、まだ結果はでていない。 全ての病原微生物を検索するわけにはいかないが、以上の結果よりかなりの細菌、ウイルスは不活化できると考えている。また、簡便法ではあるが緑カビ、黒カビの真菌に対し、20%Pyで殺菌効果のあることが分かった。 2)残留モノマーの定量 ブタ腎臓を浸漬保存液として同じ重量の20~30%Py水溶液に浸漬し、経時的に水溶液サンプルを採取し、GC-MSで浸漬液中の残留モノマーの定量を行った。その結果、モノマー濃度は漸減し、1週間で当初の約2/3の濃度に低下した。臓器(ブタ腎臓)は室温に静置しておくと少なくとも3年間は腐敗を起こさず、色、形、弾力性、重量など入手直後のブタ腎臓と殆ど同様形態であった。大型臓器についても長期保存できるか検討中である。
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