研究課題/領域番号 |
22590177
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤倉 義久 大分大学, 医学部, 教授 (10165368)
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研究分担者 |
北村 裕和 大分大学, 医学部, 助教 (70115559)
伊奈 啓輔 大分大学, 医学部, 准教授 (20203193)
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キーワード | ホルムアルデヒド代替液 / 親水性高分子モノマー / ピロリドン / 組織固定 / 臓器保存 / 環境対応 / 解剖学 |
研究概要 |
フォルムアルデヒド(FA)は発がん性物質に区分され、取り扱いに大きな注意を払う必要が出てきている。しかし、未だFAは(1)組織浸漬固定液として、(2)肉眼標本長期保存液として、(3)解剖実習用ご遺体への注入固定・防腐液として多量に使用されている。本研究はFA代替液として親水性高分子モノマーの一種であるピロリドン(Py)が上記3項目に対し使用できないか検討している。 (1)20~30%Py水溶液固定後のパラフィン切片で肝臓、腎臓、脾臓、腸、膵臓、肺、脳、精巣、心臓、皮膚等はHE染色はじめAzan染色やPAS染色の特殊染色でFA固定と同等の染色態度を示していた。しかし、骨格筋は筋線維と筋内膜の間に間隙が生じ、FA固定標本と異なっているため、その原因を解析中である。一方、この試薬に対し、(株)日本医化器械製作所より共同研究の申し込みがあり商品化を目指している。免疫染色に関しては抗原の保存状態がFA固定切片に比して悪く、抗原を賦活化させることも含め実験継続中である。 (2)各種臓器を臓器と同重量の30%Py水溶液に1週間浸漬し、その後5%Py水溶液に浸漬すれば長期間保存できることが明らかになった。これは非常に有用な成果であるが、問題としてFAに比し「価格」が高いことが残っている。 (3)ラットで予備実験を行った結果、筋肉や内臓が軟らかく(例えば肝臓や消化管は生の状態を殆ど同様)ピンセットでほぐし解剖するには軟らかすぎて返って難しかった。おそらく献体されたご遺体でも同様結果が予想される。それで現在は今までの結果を逆手に取り、Pyで動物を軟らかく防腐・固定・保存し、外科系臨床修練用に使えないかの可能性も模索しており、一部は日本予防医学会総会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年計画の2年目が終了した時点であり、(1)組織浸漬固定液として既に企業と共同研究を行い「商品化」ま近かである。また、(2)肉眼標本長期保存液としては本研究は終了した。(3)の肉眼解剖実習用ご遺体への注入固定・防腐液としては不向きという結果が得られているが、外科系臨床修練用に使える可能性が出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)組織浸漬固定液としてパラフィン切片上で「抗原保持」ができるかどうかにウエイトを置いて研究を進めていく。 (2)肉眼標本長期保存液としての研究は終了したので、今後はこの試薬の「商品化」を企業と一緒に進めていく。 (3)外科系20学会より日本解剖学会に対し献体されたご遺体「外科系臨床修練への使用させて欲しい」、という要望が出てきている。本ピロリドン水溶液は個体を軟らかく固定し、かつ長期防腐・保存できる点で有用であり、この方面で進めていく予定である。
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