研究概要 |
有尾両生類の一種であるアホロートルを用いて、切断された四肢の再生メカニズムの分子機構を解明することを試みてきた。本研究では、マウスやニワトリの四肢発生過程で、前・後肢の決定に関与するPitx1, Tbx5, Tbx4に着目し、アホロートルにおいてこれらの遺伝子のクローニングを行い,四肢再生過程ならびに発生過程における発現パターンについて、解析を行った。Pitx1については,発生後肢にのみ発現していたが,再生過程では前肢および後肢のいずれにおいても発現が認められた。このことから、四肢再生過程でPitx1は、発生過程においては、後肢のパターン決定に関与するが、再生過程では後肢のパターン決定には関与しないものと考えられた。Tbx5ならびにTbx4についてはぞれぞれ、発生過程において前・後肢いずれにも発現していたことから、発生過程においては前・後肢のパターン決定には関与していないものと考えられた。一方、再生過程において、Tbx5は前肢にのみ、またTbx4は後肢にのみ発現が認められたところから、再生過程では、それぞれ前・後肢の決定に関与していると考えられた。Tbx5を発現するベクターを後肢にエレクトロポレーションにて導入後に切断すると,前肢類似の再生体ができることからも、再生過程において、Tbx5は前肢のパターン決定因子である可能性が示唆された。Tbx4発現ベクターを前肢に導入する実験を現在試みている。
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