研究概要 |
epidermal fatty acid binding protein(E-FABP:上皮型脂肪酸結合タンパク)はマウス小腸バイエル板のM細胞、樹状細胞、杯中心マクロファージに発現する(Suzuki,2009)。 平成22年度の研究ではM細胞におけるE-FABP発現と抗原取り込みとの相関について以下の所見を得た。 1.離乳期である生後16~19日C57BL/6マウスM細胞でE-FABP発現は17日,18日を境に劇的に増強することが分かった。これは腸内細菌叢の変化する時期(Lee and Gemmell,1972)と一致しており腸管内の抗原環境の変化とM細胞のE-FABP発現との相関が示せた。 2.パイエル板を含む成獣C57BL/6マウス小腸を栄養血管を生かしてバイエル板の頭尾側で結紮して閉鎖腔としビオチン標識IgA(100μg/ml)を注入して(loopassay)取り込み像を観察した。 IgA取り込み像はE-FABP陽性M細胞に一致して観察された。同様の方法で生後16日と19日の比較をすると、E-FABP陰性M細胞(16日)では見られなかったIgA取り込み像がE-FABP陽性M細胞(19日)では観察された。1.で見られたE-EABP発現増強がM細胞の抗原取り込み能と相関することが示せた。 3.ビオチンbovineserumalbumin(BSA),ovalbumin(OVA)cholera toxin B subunit(CTB),IgAをloop assayにてバイエル板を含む成獣C57BL/6マウス小腸に暴露した。OVAとIgAの取り込み像は:E-FABP陽性M細胞に、よく一致したが、BSA,CTBでは相関が乏しかった。暴露される抗原の種類と其々のM細胞の取り込み効率がE-FABP発現と相関することが示せた。
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