研究概要 |
本年度は、すでにほぼ確立できたと考えている4つのT細胞サブセット特異的転写因子であるT-bet,GATA-3,ROR-gt,FoxP3の多色化と、実際にEAEを誘導したマウスのリンパ節及び中枢神経系におけるT細胞サブセット解析及び、IL-2,IL-10,TGF-b,IFN-g等のサイトカインのイメージングの確立を行い、EAEを誘発したマウスの臓器を対象としてサイトカイン イメージングを行うとともに、得られた画像の解釈の理論的枠組みとなるmulti agent systemによるシミュレーション法を確立することを計画していた。しかし、半導体色素による抗サイトカイン抗体のラベル化に関しては今もってクラスター形成の問題がのこり、現在十分なS/N比を得るに至っていない。一方、multi agent systemによるシミュレーションにおいては、200程度のT細胞、B細胞が数種のサイト間を分泌、検知しつつ分化・増殖を行う段階まで動作を確認した。クローンに特異を持たせるためTCR-pMHC間結合自由エネルギーを評価する手法の確立が必要となり、すでに報告のあるHarvard大Chakrabortyのグループにより報告されている、string modelとMiyazawa-Jernigan matrixによる計算に関する徹底したcharacterizationを行い、この計算法に大きな問題があることを明らかにした(免疫学会にて報告、論文準備中)。また、現実的な計算効率で比較的精度の得られる、誘電体連続モデルと分子動力学を結びつけた方法(MM-PBSA)によるTCR-PMH結合エネルギー計算法をGeneral purpose graphic processing unit(GPGPU)により効率的に行う方法を確立し、この領域における種々の計算手法を含めて論じ、著書として発表した。
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