研究概要 |
本研究課題を達成するために技術要素として、高いS/N比を得るために、抗体に対しクラスター形成を起こさずに半導体色素をコンジュゲート(ラベル化)することが必要であるが、関与する官能基が抗体、半導体色素いずれの側にも複数有り、本質的に困難を含む技術である。 この目的を達成するために抗体のラベル化状態をモニターする方法が必須であり、走査電顕による観察、ゲル濾過クロマトグラフィーによる分子量測定、蛍光相関分光による分子量評価を確立した。 また、コンジュゲーションの方法として、半導体メーカーのeBioscience社より供与された色素を用いて、抗体の側の-NH2基を標的として半導体色素上に-NHS基を付加し結合させる方法と、抗体側の-SH基を標的として半導体色素上に-maleimideを導入する方法を、主として探索した。このいずれの方法も、抗体とコンジュゲートを生成したが、上記モニター法でチェックすると、かなり大きなクラスターを形成していることがわかった。 上記コンジュゲーション法を用いて、マウス脾臓、胸腺、リンパ節等を試料とし、T細胞サブセット分化因子である、FoxP3, GATA3, ROR-gt, T-betを染色し、蛍光画像を得た。また、サイトカインとして、量が比較的多いと思われる、IL-10,TNF-aに関しては蛍光画像を取得できたと判断している。しかし、クラスター形成によりバックグラウンドノイズが高くなることから、それ以外のサイト感に関しては蛍光画像を取得できていない。半導体色素の2大供給元であるモレキュラープローブ社、eBioscence社いずれも、この問題に関し、進捗を示していない。 得られた画像の解釈の枠組みを作る目的で、T細胞の挙動とTCR-pMHC結合自由エネルギーの関係を調べるための、分子動力学に基づくシミュレーションを並行して行い、その発展を企図している。
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