本年度は以下を施行した。 1.慢性腎臓病の進展に重要な役割を果たす蛋白尿に伴う酸化ストレス蓄積が、腎臓の生理的な酸性環境にて増悪することを、近位尿細管培養細胞株を用いてリアルタイムに蓄積する酸化ストレスを測定することで示した。 2.実験動物(マウス)に蛋白尿を生じさせることで近位尿細管に酸化ストレスが蓄積し、その分布が生理的な酸性環境に合致することを示した。 3.この生理的酸性環境による酸化ストレスの増強が非受容体性チロシンキナーゼPyk2の活性化に基づくNADPHoxidaseの活性化を介していることを示した。 4.尿細管管腔内を重炭酸ナトリウムでアルカリ化することで蛋白尿に伴う酸化ストレスを抑制でき尿細管間質傷害が改善することを示した。 5.これらの成果は、米国の腎臓内科学会雑誌Journal of the American Society of Nephrologyの電子版(平成23年3月)に掲載された。
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