研究概要 |
1.研究の目的:磁化移動(MT)コントラスト法は生体高分子と水分子間相互作用を反映する,組織特異的な分子イメージング法としてその有用性が期待されるが,得られるMR画像情報が示す物理的意味の詳細は不明な点が多い。本研究の目的は,その物理的意味合いを明らかにして,磁化移動コントラスト法の基本原理を解明し,さらに細胞・組織の機能を反映したイメージング法として実用化を図ることにある。 2.成果の具体的内容:昨年度からの唾液腺を対象とした基礎実験に並行して,一方で臨床応用として乳がんにおける化学療法の治療効果の判定にオフレゾナンス磁化移動イメージング(1.5テスラ)が評価可能かを,乳がん患者10例を対象として検討した。 3.意義:乳がんの術前化学療法における組織病理学的な変化は,形態変化が起こる前段階で細胞成分の減少および線維成分の増加を評価することにより早期治療効果が可能である。 4.重要性:実施した結果より,本法は術前化学療法の早期治療効果判定に有用な画像法であると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は,オフレゾナンスMRイメージング法の臨床応用として,細胞集団,すなわち組織のリアルタイムの機能をイメージングとして捉え,その結果として異常病変の超早期発見や患者治療中の薬効評価に少なからず寄与することにある。そのために,今後は高磁場MR臨床機(3テスラ)を用いて,がん組織内のタンパク質-水分子間情報を捉えながら,本法の実用化を目指す。
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