研究課題/領域番号 |
22590206
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80242973)
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研究分担者 |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80161397)
豊田 太 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90324574)
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キーワード | Kv1.5チャネル / 膜輸送 / 低温レスキュー / 心筋細胞 |
研究概要 |
超急速活性型遅延整流性K+チャネル(IKurもしくはKv1.5)はKCNA5遺伝子によってコードされ,ヒトでは主に心房筋に発現してその活動電位の再分極過程を制御している.KCNA5遺伝子の機能喪失により心房筋活動電位の再分極過程に異常をきたし心房細動の発症に関わることが示唆されている.またKCNA5遺伝子の一塩基多型はチャネルタンパク質の機能障害を伴うことも報告されている.本研究課題の初年度からこれまでの研究により低温培養(低温ストレス:34℃, 31℃, 27℃の条件下)は、Kv1.5電流を著明に増大させたことが明らかとなった。またこの電流量の増大はチャネルタンパク質の量の増加に比例することも確認できた。すなわちWestern blotting法によってKv1.5チャネルが68 kDのcore-glycosylated protein(小胞体に存在)と75 kDのfully-glycosylated protein(細胞膜に発現・機能)として検出されて、いずれも低温ストレスによってKv1.5タンパク質の量が顕著に増加したことが明らかとなった。Kv1.5タンパク質の増加にはlysosome機能が関与しなかったが、Proteasome機能を抑制すると、低温環境下において、core-glycosylated proteinの蓄積を認めた。しかしproteasome活性が低温培養によるfully-glycosylated protein量の増加にあまり影響を与えなかったことから、電流量の増大にはほかの機序が関与していると推測される。平成23年度の繰り越し研究費で細胞膜分画の実験に使用する薬剤やKv1.5変異体作製のキットを購入し、低温培養条件下における細胞内輸送の変化を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究は、計画通り実施しており、低温培養(低温ストレス:34℃, 31℃, 27℃の条件下)は、Kv1.5電流を著明に増大させたことが明らかとなった。また電流量の増大はチャネルタンパク質の量の増加に比例することも確認できた。低温培養でKv1.5が細胞膜への局在増加も免疫組織学によりは、確認できた。チャネルタンパク質の分解系の検討により、lysosome機能が関与せず、Proteasome機能が低温環境下においるcore-glycosylated proteinの蓄積に関わった。しかしproteasome活性が低温培養によるfully-glycosylated protein量の増加にあまり影響を与えなかったことから、電流量の増大にかかわるほかの機序を究明したい。
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今後の研究の推進方策 |
チャネルタンパク質のの細胞内輸送は、複雑な過程であり、多くの修飾因子が関わっている。まず細胞膜分画の実験に使用する薬剤や、タンパク質成熟に関係する糖鎖添加に関わる薬剤、Kv1.5変異体作製のキットを購入し、低温培養条件下における細胞内輸送の変化を詳細に調べる。
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