研究課題/領域番号 |
22590207
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
塩谷 孝夫 佐賀大学, 医学部, 助教 (20253594)
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キーワード | 心筋の生理 / パッチクランプ / Na/Ca交換電流 / 細胞内マイクロドメイン / 細胞内カルシウム / 細胞膜Caポンプ電流 / カルシウムシグナリング / 心筋活動電位 |
研究概要 |
昨年度の研究に引き続き、心筋リバースECカップリングにおける、細胞膜Caポンプ(PMCA)とNa/Ca交換(NCX)の二種類のカルシウム排出機構の機能分担の解明を目的として実験を行った。1)マウス単離心室筋細胞を用いて、PMCAが心筋細胞のリバースECカップリングにおよぼす影響について検討した。PMCAを抑制した条件では、CaトランジェントにともなうNCX電流振幅の増大と、活動電位プラトー相の延長が認められ、PMCAによるNCX活性調節がリバースECカップリングに寄与していることが支持された。2)ホールセルクランプ下でPMCA電流の記録を試みた。PMCA電流は、信号対雑音比の問題から、明瞭な記録を得られなかった。いっぽうで高感度カメラによる蛍光Caイメージングを現在進めているが、PMCAによる細胞内Ca濃度変化の検出に至っていない。3)細胞内CaによるPMCAとNCXの共役様式について、細胞内Caバッファの効果について調べた。PMCA抑制にともなうNCX電流の増強は、細胞内マイクロドメイン内の局所的Ca濃度変化によることが示された。この結果は、Ca拡散のコンピュータシミュレーションからも支持された。4)心筋症モデルの遺伝子改変マウスを用いて、心室性不整脈の発生とリバースECカップリングの変化について、単離心室筋細胞から活動電位波形、膜電流、およびNCX電流のデータを収集した。以上の研究成果は、心筋PMCAとNCXの細胞内Caマイクロドメインを介した共役を強く支持し、その異常が心室性不整脈の発生に関与することを示唆する重要な意義をもつ。これらの成果の概要は、平成23年度の3回の学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に記載した事項は、いずれの項目もおおむね満足できる結果が得られた、生化学的手法によるNCX分子とPMCA分子の共局在の検討が遅れているが、研究目的に記載しなかったコンピュータシミュレーションによってNCXとPMCAの距離を推定でき、同様の情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究課題の最終年度であるので、残りの実験を完了し、また本研究課題の研究成果を論文に発表することを主眼にして、研究課題を推進する。現在のところ、生化学的手法によるNCX分子とPMCA分子の共局在の検討が遅れている点が問題なので、学内の共同研究を依頼して対応する。PMCA電流の記録は、記録系の信号対雑音比が最大の問題になっているので、パッチクランプ増幅器の交換や記録系周辺の低雑音化によって対応し、今年度いま一度の記録を試みる。
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