(1) ABCF2の野生型及び様々な変異体(C末端側7アミノ酸欠損体、C末端側33アミノ酸欠損体、C末端側74アミノ酸欠損体、601番目のチロシンをアラニンに変異させた点突然変異体)を発現させたHEK293T細胞に、低浸透圧刺激を加えた後時間を追って細胞膜を抽出し、ABCF2の蛋白質量の変化を調べることによって、低浸透圧刺激後のABCF2の細胞膜への集積に必要な領域を検討した。その結果C末端側33アミノ酸欠損体(590番アミノ酸までのABCF2)は細胞膜へ集積するが、74アミノ酸を欠失すると(549番アミノ酸までのABCF2)細胞膜へ集積しにくくなることがわかった。したがって550番目から590番目のアミノ酸の領域に、低浸透圧刺激後の膜集積を促すシグナルを受け取るアミノ酸が存在する可能性が示唆された。 (2) C末端側74アミノ酸欠損体をHEK293T細胞に発現させて、低浸透圧刺激を受けて膨張した細胞容積の戻り具合を検討した。平均細胞容積ではベクターのみを発現させた細胞群と今のところはあまり変わらないという結果がでているが、もう少し例数を増やす必要がある。また、ABCF2の結合相手としてアクチニン-4を同定しているので、両者の結合を免疫沈降で調べた。今のところC末端側74アミノ酸欠損体はアクチニン-4と結合するという結果が得られているがこれももう少し検討を要する。
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