研究課題/領域番号 |
22590219
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
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研究分担者 |
上嶋 敏 近畿大学, 農学部, 教授 (30193791)
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 講師 (20185432)
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助教 (70388510)
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キーワード | t-PAR / t-PA / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / ES細胞 |
研究概要 |
tissue-type plasminogen activator(t-PA)の受容体(t-PAR)は、我々がその存在を血管内皮細胞から単離し明らかにした蛋白である。本研究は、t-PAR強制高発現血管内皮細胞や血管平滑筋細胞を用いてt-PA/t-PAR系の細胞機能を解析し、さらにES細胞への応用による組織再生過程でのその機能解析を目的としている。 平成22年度は、t-PAR強制高発現血管内皮細胞を作成しその細胞機能について解析した。 1. t-PARの強制発現は、t-PAR遺伝子を含む細胞膜発現ベクターを用いてヒト臍帯静脈血管内皮細胞で行った。 2. 発現ベクターを挿入させた血管内皮細胞は、PCR法とWestern blot法においてt-PARの遺伝子と蛋白の発現を確認した。 3. t-PAR強制高発現血管内皮細胞は、分子間相互作用解析装置IAsysにおいてt-PAの結合能が増強していた。 4. t-PAR強制高発現血管内皮細胞は、合成基質法においてt-PAによるPlg活性化を亢進させた。 5. t-PAR強制高発現血管内皮細胞の増殖能は、非発現細胞に比べて増加していた。 以上の結果より、t-PAR強制高発現血管内皮細胞は、t-PARの発現によりt-PAの結合能を増加させ、膜上でのt-PAによるPlgの活性化の亢進を誘導させることが示唆された。この細胞膜上でのt-PA/t-PAR系による蛋白分解活性の亢進は、組織修復・再生の際、細胞周囲の組織分解・再構築に関与することが期待される。なお、これらの結果の一部は英文論文(Ishida et.al, Blood Coagul Fibrinolysis 2010)で報告した。
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