研究概要 |
ビタミンCを肝臓で生合成できるマウスにおけるビタミンC代謝と酸化ストレスの関係を検討した。 急性慢性炎症性酸化ストレスのモデルとして、C57BL/6Nマウス(♂, 8週齢)にLPS投与し、血中、及び肝組織中のビタミンC(AsA)濃度とビタミンCの代謝産物であるジヒドロアスコルビン酸(DHA)濃度を測定した。LPS投与前後を比較したところ、肝組織中AsA濃度が992±41 μMから1211±84 μM に増加すると共にDHA濃度が数μMから6~24時間後で200~400μMに増加していた。LPS投与5時間後から観察される血中AsA濃度増加を考慮すると、LPS投与は数時間の間に肝臓でのAsA産生量を顕著に増加させると考えられた。また、LPS投与動物の回復はLPS投与10時間以降の肝組織中のDHA/AsA濃度比と逆相関を示した。これらの結果は、酸化ストレスに対して肝臓でのAsA産生量が鋭敏に反応する可能性を示唆する。そこで、中等度の運動刺激による生理的酸化ストレスとマウス肝臓AsA産生量との関係を検討した。トレッドミル走(10 m/min, 1.5h)前後で肝組織中AsA濃度は比較的よく保たれている一方、DHA濃度が運動実施直後から400μM程度まで上昇した。DHA濃度の情報は運動実施後20hでも観察されることから、急性運動による生理的な酸化ストレスでも肝臓におけるAsA産生が誘導され、その産生上昇が比較的長く持続することが示唆された。
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