研究課題/領域番号 |
22590223
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
能城 光秀 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00144858)
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キーワード | DEC1 / DEC2 / 核内受容体 / 脂肪分化 / 脂質代謝 / 概日リズム / 遺伝子発現 / 時計遺伝子 |
研究概要 |
動物の概日リズム調節を司る分子時計機構に関与する遺伝子であるDEC1およびDEC2を中心として、時計遺伝子群のリズム発現調節機構解明とそれらの生体内での役割を特に脂質代謝関連遺伝子のリズム発現調節への影響を解明することを目的とした。このことによって、外界の光や摂食行動、エネルギー要求性などリズムを伴う刺激(入力)に対する生物応答(出力)の分子レベルでの理解を深めることを目指す。これまでの研究に基づき、DECの標的遺伝子を脂肪酸代謝関連酵素に拡げ、それらの特に脂肪組織でのリズム調節におけるDEC1、DEC2やその他の時計遺伝子の役割をリズム刺激のインプットとアウトプットの両面から明らかにすることを目的とした研究を行い、以下の成果を得た。 1.前年度に核内受容体RORαがDEC1およびDEC2遺伝子の新たな調節因子であることを見いだし、DEC1遺伝子プロモーターに一箇所、DEC2遺伝子プロモーターに2箇所のRORα応答エレメントが存在することを明らかにしたことに続いてそれらの応答配列の変異が発現調節にどのように影響するかを詳細に解析した。プローモーターアッセイにより、特に脂肪分化能した3T3-L1培養細胞系においてこの調節系が機能していることを見いだした。前年度の結果と合わせてRORαがDEC1およびDEC2遺伝子の調節することで脂肪分化に抑制的に作用していることが明らかになった。 2.DEC1ノックアウトマウスの脂肪組織において中性脂肪代謝に関わる一群の遺伝子に加えて、脂肪分化調節に関わる遺伝子もDEC1の標的遺伝子であることを見いだした。それらはリズム発現をしており、DEC1が重要な働きをしていることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dec1,Dec2遺伝子の調節機構に核内受容体が新たに機能していることを証明し、さらにそれが脂肪分化や脂質代謝経路に重要な役割を持っていることなどを明らかにしたことで、DEC1、DEC2時計遺伝子の役割をインプットとアウトプットの両面からの解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDec1ノックアウトマウスで見いだされているDEC1の標的遺伝子がどのような分子機構で調節されているかを各タンパク因子同士の相互作用やそれらの遺伝子への結合などを詳細に解析する。またその調節機構が生体全体に最終的にどのような影響を与えるかをノックアウトマウスの体重変化、脂肪組織が産生する血中の各因子などを経時的に測定することによって詳細に検討する予定である。
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