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2010 年度 実績報告書

環境ストレスによる情動および学習行動の変化と脳内グリア細胞の役割

研究課題

研究課題/領域番号 22590225
研究機関九州大学

研究代表者

片渕 俊彦  九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80177401)

キーワード感染ストレス / グリア細胞 / 情動 / 疲労 / IL-1β / セロトニントランスポーター / Poly I:C / ミノサイクリン
研究概要

本研究の目的は、感染ストレスによって惹起された情動や、学習行動への影響のメカニズムを、脳内におけるサイトカインの主たる産生源であるグリア細胞に焦点を当て、グリア細胞の活性化とサイトカイン類の産生動態の機序を形態学的および分子生物学的に明らかにし、さらにグリア細胞と情動や学習行動との関連を行動学的に解析するとともに、初代培養グリア細胞を用いた解析を試みることである。
感染ストレスモデルとして、合成2重鎖RNAであるPoly I:Cをラットに腹腔内投与し、1、3、6、12、24、48時間後にラットを灌流固定し、脳薄切片を活性化したミクログリアのマーカーの一つであるIba-1で染色したところ、視床下部、前頭前野および海馬において、アメーバ状および肥大した活性化ミクログリアが多数見られた。またアストロサイトの活性化マーカーであるGFAPについても検討したところ、アストロサイトの活性化も観察された。この時、ミクログリアにおけるIL-1βの産生が増強し、疲労や不安に関与するセロトニントランスポーターの発現が増強していた。これらの変化は、ミクログリアの活性化を特異的に抑制するミノサイクリンの前投与によって抑制された。また、Poly I:Cによる疲労などの行動学的変化もミノサイクリンによって減弱した。さらに、初代培養グリア細胞を用いた検討によって、Poly I:Cがミクログリアに作用してIL-1βの産生が増強し、産生されたIL-1βがアストロサイトに作用してセロトニントランスポーターの発現を誘導することが明らかになった。以上から、感染ストレス時の脳内グリア細胞の活性化は、情動や学習への影響のメカニズムにおいて重要な役割を果たしていると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 疲労と免疫2010

    • 著者名/発表者名
      片渕俊彦
    • 雑誌名

      CLINICAL NEUROSCIENCE

      巻: 第28巻 第2号 ページ: 159-161

  • [雑誌論文] 免疫学的疲労と脳内グリア細胞2010

    • 著者名/発表者名
      片渕俊彦, 井福正隆
    • 雑誌名

      日本疲労学会誌

      巻: 第5巻 第2号 ページ: 30-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhancement of GABAergic Tonic Currents by Midazolam and Noradrenaline in Rat Substantia Gelantinosa Neurons In Vitro.2010

    • 著者名/発表者名
      Maeda, A., et al.
    • 雑誌名

      Anesthesiology.

      巻: 113 ページ: 429-437

    • 査読あり
  • [学会発表] Immunologically induced fatigue and glial cells.2010

    • 著者名/発表者名
      Katafuchi, T., et al
    • 学会等名
      The 9^<th> Japan-Korea Joint Symposium on Brain Sciences, and Cardiac and Smooth Muscles.
    • 発表場所
      KKR Hotel Keitenkaku(鹿児島市)
    • 年月日
      2010-11-26
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.kyushu-u.ac.jp/physiol/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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