研究課題
近年、視床下部室傍核におけるオキシトシン神経細胞が、つがい形成や母性行動、社会的認知などのさまざまな社会行動を調節していることが知られるようになってきた。しかしながら、これまでオキシトシン遺伝子を欠損させた(OTKO)マウスの性行動はほぼ正常であり、行動的な変化は知られていなかった。そこで我々は通常のケージにおける性行動テストではなく、広い空間にさまざまなオブジェクトを配置した環境における性行動テストを行ったところ、OTKO雄マウスはまったく正常に性行動を示したものの、雌は雄を受け入れるまで長い時間を要することが分かった。また、OTKOマウスに発情雌と正常雄の匂いを同時に提示し、それらの探索時間を測定することで嗅覚選好性を調べたところ、OTKOマウスは雌雄とも正常マウスのような異性の匂いに対する選好性を全く示さないことが分かった。一方、ラットにおいても出産子育てを経験していない雌は、経産雌が示すような仔ラットの匂いに対する選好性を示さないが、オキシトシンを脳に慢性投与すると出産子育て経験がない雌においても仔ラットの匂いに対する選好性を示すようになることが分かった。一方、オキシトシンに並ぶ下垂体後葉ホルモンのバソプレッシンも社会行動に重要な役割を果たしていると考えられている。我々は雄マウスにV1a受容体アンタゴニスト、V1b受容体アンタゴニストを脳室内投与して嗅覚選好性と性行動に対する効果を検討した。これらのアンタゴニストは嗅覚選好性にはほとんど影響がなかった。性行動に関しては、V1aアンタゴニストはイントロミッションおよび射精潜時を長くし、V1bアンタゴニストは追従や接触行動を抑制することが分かった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e87911
10.1371/journal.pone.0087911