本年度は昨年度からひきつづきCD40Lをマウス脳室内に投与しその発熱性を調べるとともに、CD40Lを視索前野に投与し発熱性を調べた。さらに、マウスにおいても脳出血で発熱が起こることを確認した。 CD40Lの発熱性:体温テレメータを留置したマウスをフォーレン麻酔し、以下の4群に分け実験を行った。1群:頭皮を切開し、縫い合わせ、2群:側脳室に30ゲージステンレスカニューレを刺入するが、注入なし、3群:側脳室に人工脳脊髄液(aCSF)を1-2μl注入、4群:側脳室にCD40L(1μg)を注入。麻酔回復後24時間の体温を測定した。1群、2群では前日の同時刻と比較して体温の上昇は認められなかった。3群、4群では前日の同時刻と比較して有意に体温が上昇した。しかし、その上昇の大きさについて3群と4群の間で有意差は認められなかった。次に、CD40L(1.4μg/1.4μl)およびaCSFを視索前野に投与した。CD40LによりaCSFより大きな体温上昇が認められたが、有意差は得られなかった。現在の実験条件では、aCSF単独で発熱様反応がおこり、CD40Lの効果を不明確にしている。投与方法を検討する必要がある。 マウス脳出血-発熱モデル:本研究課題の背景には、ラットにおいて観察された脳出血による発熱の解析結果がある。同様の発熱がマウスで起こることを確認する必要性が生じた。そこで、マウスにおいてコラゲナーゼを視索前野に投与し、脳出血と体温上昇の関係を調べた。コラゲナーゼにより脳出血が引き起こされ、その程度に応じて体温上昇(発熱)が起こることが確認できた。しかし、同量のコラゲナーゼを投与しても、脳出血の程度には大きなバラツキが認められ、それに応じた発熱が起こった。再現性のある脳出血-発熱モデルを作成するための検討が必要である。
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