研究概要 |
【モデルの作成】体重9-12kgのビーグル犬をペントバルビタールで麻酔後、電極カテーテルを大腿静脈から房室結節領域に挿入した(n=6)。高周波通電により完全房室ブロックを作製し、術後3日間は抗生物質の投与を行った。術後4週以上経過した動物をペントバルビタールで麻酔後、右第5肋間で開胸し、ペーシング電極を右心房(Buchmann束付近)に装着した。植え込み型電気刺激発生装置(大正医科器械株式会社TNT-002AL)を右臀部皮下に埋め込んだ。術後4週間以上経過し、全身状態が良好に保たれていることを確認後、心房の持続的電気刺激(400bpm)を2週間行い、心房筋に電気的リモデリングを誘発し、有効不応期が短縮したことを確認後、刺激頻度を600bpmに増加し、4週間の心房の持続的電気刺激を行った。 【薬物評価】刺激頻度600 bpmでの電気刺激終了30分前より24時間ホルター心電図(HS1000システム フクダME)の記録を開始し、心房細動の発生を確認した。持続性心房細動が誘発された際には既に臨床応用されている心房細動治療薬(ピルジカイニド3mg/kg/10 min, i. v.)を静脈内投与し、停止効果を評価した。2/6例で心房細動の停止効果が認められた。得られた結果を他剤(ジソピラミド3mg/kg/10 min, i. v.)と比較検討した。同様に2/6例で心房細動の停止効果が認められたが、停止しなかった1例においてQT延長に起因するtorsades de pointesを認めた。 【プロトコールの改良】最初から600bpmの頻度で1:1の電気刺激ができるように、心房電極の植え込み位置を手術時に毎回検討した。左第5肋間で開胸し、ペーシング電極を左心房(Buchmann束付近)に装着することで1:1の電気刺激ができることを見いだした。
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