【慢性持続性心房細動モデルの作成】 前年度までの検討により、ペーシング電極を慢性房室ブロック犬の左心房(Buchmann束付近)に装着することで心房を600 bpmの頻度で1:1の電気刺激ができることが見出されたので、今年度もこの方法を用いてモデルの作成を行った。前年度までと同様に、再現性をもって慢性持続性心房細動モデルを作成することが可能であることが確認された(n=6)。この手法で作成した慢性持続性心房細動モデルに薬物を投与することにより抗心房細動作用を評価した。 【開発候補化合物の評価】 開発候補化合物および承認薬の適応外薬効としての心房細動停止効果を慢性心房細動モデル動物を用いてスクリーニングした。その中でoseltamivirは特に強力な抗心房細動作用を示した。3 mg/kg/10 minの投与で6例中2例で、30 mg/kg/10 minの投与で6例全例で心房細動が停止した。副作用(特に、QT間隔延長に伴うTdPや心室性不整脈発生)は認められなかった。前年度までで評価したピルジカイニド、ジソピラミド、アプリンジンおよびシベンゾリンの心房細動停止効果はそれぞれ6例中2例、6例中1例、6例中0例および6例中2例であり、IKur遮断作用を有する新規候補化合物のAVE0118でもその心房細動停止効果は6例中2例であった。以上より、oseltamivirは既存の抗心房細動薬を上回る薬効を有していることが明らかになった。
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