本研究から一定の低酸素状況下でのES細胞培養は神経細胞分化を促進すること、さらに自殺遺伝子の導入は奇形種発現を抑制する有力なツールとなることを明らかとした。また網膜神経細胞への障害はES細胞の生着率を高めることも明かとした。しかしながら、CoCl2の網膜への投与は、視細胞のみに選択的に障害性を与えるものの、その程度が激しく網膜再生モデルとして必ずしも適していないことも示唆された。一方、NMDA投与による網膜神経節の選択的な障害は、ES細胞の移植後一部ではあるものの、ネットワーク形成を伴う神経節細胞への分化が認められるなど、網膜障害モデルとしての有用性が示唆された。
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