研究課題/領域番号 |
22590243
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
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キーワード | サル血液脳関門 / 血液脳関門再構成モデル / サル脳毛細血管内皮細胞 / 脳ペリサイト / アストロサイト / 薬物脳内移行性 / タイトジャンクション / ラット血液脳関門 |
研究概要 |
幼若サル脳毛細血管内皮細胞の初代培養法を確立し、ラット脳ペリサイトおよびラット脳アストロサイトとの共培養で機能的なサル型I vitro BBB再構成モデル(BBBキット)を構築した初年度の成果を引き継ぎ、BBBキットとしての機能検定と薬物の脳内移行性検定を行った。高いタイトジャンクソン(Tjs)機能(経内皮膜電気抵抗で200Ω・cm^2以上)と、良好なTjsタンパク質(claudin-5, occludin、ZO-1)、トランスポーター(p-glycoprotein)の発現が得られた。トレーサー(sodium fruorescein, ^<14>C-sucrose)を用いた細胞間隙輸送、^3H-3-methyl-D-glucoseを用いた糖輸送担体機能、rhodamine123によるP-糖タンパクの機能と極性、およびスカベンジャー受容体の確認(Dil-acetyl-LDLの取込み)について、ラット型BBBキットと比較検討し、概ね同等の機能を検出した。BBBモデルのインサート内側(血管腔側)に化合物を入れ、一定時間内に内皮細胞及びペリサイトの層を通過し、プレートのウェル内(脳実質側)に漏れ出てきた薬物濃度を測定して脳内移行性を検定した。caffein、antipyrin、L-phenylalanine、verapamil、cyclosporin A、digoxin、sucroseのBBB透過係数(Papp)は、ラット型BBBキットで得られたPappと良く相関していた。以上、BBBキットとして良好なin vitro BBB再現系が構築できた事が確認できた。サルおよびラット脳ペリサイトとサルおよびラットアストロサイトの3細胞共培養によるヒト脳毛細血管細胞株hCMEC/D3細胞へのBBB機能誘導効果を検討したが、いずれも有意なBBB誘導効果は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養サル脳毛細血管内皮細胞、ラット脳ペリサイトおよびラット脳アストロサイトで構成されるBBBキットは、in vitro BBB再構成モデルとして、機能的にBBB機能を再現されていることが検証できた。しかし、未だサル脳ペリサイトとサル脳アストロサイトとサル脳毛細血管内皮細胞とのサル純系細胞によるBBBキットの完成に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の問題点としては、幼若サル脳からのペリサイトとアストロサイトの分離抽出法と培養法が完全に成功していない点である。in vitro BBB再構成モデルとしての機能に関しては、ラットペリサイトとラットアストロサイトで対償できることを証明したが、種差の解明の観点からも、培地の組成の問題など培養条件の詳細の検討を、今後、行って行く。
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