研究概要 |
1)我々はFlag-onlyおよびTNNI3K高発現P19CL6細胞群由来の心筋細胞における、その心筋細胞の拍動頻度の変化に対してPKCの阻害薬であるGF109203X、プロテインキナーゼA(PKA)の活性剤である8-bromoadenosine 5-monophosphate (8-Br-cAMP)および広い細胞浸透性プロテインキナーゼ阻害剤であるStaurosporineの効果を検討した。結果より,(1)GF109203Xはの濃度が20から120Mまでを投与すると、Flag-only実験群にも、TNNI3K高発現実験群にも、その心筋細胞の拍動頻度は、約25%を増加した。(2)8-Br-cAMPは、Flag-only実験群にも、TNNI3K高発現実験群にも、濃度依存的に心筋細胞の拍動頻度を増加した。(3)TaurosporineはFlag-only細胞群由来の心筋細胞の拍動頻度にあまり影響を与えないが、TNNI3K高発現細胞由来の心筋細胞には濃度依存的にその拍動頻度を抑制したことが認められた。 2)TNNI3Kの全長リコンビナント蛋白を用いて、抗TNNI3Kポリクローナル抗体を作成した。我々はこのTNNI3Kキットを利用して、健常者血清と急性心筋梗塞(AMI)患者血清および急性腎不全や慢性心不全歴のある人の血液標本を検体としてTNNI3Kの血中レベルを測定した。その結果、AMI患者の血中TNNI3K濃度は正常健康者より十倍以上高いという結果が得たが、急性腎不全患者、慢性心不全歴のある患者の血中TNNI3K濃度は正常健康者と比べて有意の差はなかった。さらに、我々は、AMI患者の血中TNNI3K濃度と心筋トロポニンI(cTnI)濃度の変化を比較した。AMI患者の血中TNNI3Kの上昇程度はcTnIのより高かった。さらに、血中cTnI濃度の上昇は、AMI患者のみならず、他の6例の急性腎不全患者の血液サンプルにも有意に増加することが見られたが、同じ患者のサンプルを使ってTNNI3K濃度では増加していなかった(2010年AHA米国心臓学会年会口頭発表;2010年日韓薬理学会合同セミナーにfree topics講演、論文も投稿中)。
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