研究課題/領域番号 |
22590247
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
橋本 祐一 東京医科大学, 医学部, 講師 (00317330)
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キーワード | アルツハイマー病 / 神経変性疾患 / サイトカイン / ヒューマニン / 細胞内シグナル伝達 / 受容体 / 治療薬 |
研究概要 |
アルツハイマー病(ア病)は全世界に1,000万人以上の有病率を誇るといわれる原因不明の神経変性疾患である。進行性の記憶認識障害と神経脱落を主徴とし、その診断・治療法は未だ確立されていない。申請者が所属する研究グループでは、炎症性サイトカインTGFβ2がアミロイド前駆体蛋白質(APP)の細胞外領域と結合し細胞死シグナルを出力させることを世界に先駆けて発表した。また、これらア病関連侵害刺激が惹起する神経細胞死の抑制するペプチド性因子ヒューマニン(HN)を世界に先駆けて得た。更に、2009年HN受容体がgp130/WSX-1/CNTFR複合体であることを報告した本申請の研究計画において、平成23年度では(1)APP蛋白質複合体形成阻害分子の同定、(2)HNによって誘導されるシグナル伝達分子の検索、(3)EH結合分子の検索および(4)EH分子およびHN活性阻害分子の生理機能の解析、を予定していた。 計画(1)について、プレセニリン結合タンパク質MOCAがAPP介在性神経細胞死に深く関わっている事が分かった。成果は現在投稿中である。計画(2)ではHNによって強く誘導され、かつsiRNAによるノックダウンによってHN活性が著減する分子を見出した。現在詳細な解析を進めており本年度中に成果公表出来る見込みである。計画(3)(4)においては、前年度見出したHN様活性を有する内在性分子に結合する活性阻害分子の同定に成功した。本年度中に成果公表出来る見通しである。 この分子はHN受容体の強力なアゴニストである事を発見した。研究成果は現在投稿中である。さらに、イタリアSiena BiotechのCaricasole博士と国際共同研究を実施し、V-set and transmembrane domain containing 2 like(VSTM2L)がHNのアンタゴニストである事を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文受理に多少時間が掛かるが、概ね計画通りの成果公表を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究戦略がユニークであり少数派であるためか論文受理までに時間を要する。国内外の学会などにより多く演題発表していくことで研究を広げていきたいと考えている。
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