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2011 年度 実績報告書

シスプラチン腎障害のメカニズム解明とその軽減に向けた薬物療法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 22590251
研究機関兵庫医療大学

研究代表者

上田 晴康  兵庫医療大学, 薬学部, 准教授 (10330458)

研究分担者 田中 稔之  兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30217054)
大野 喜也  兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40509155)
キーワード炎症 / 免疫 / サイトカイン / IL-18 / シスプラチン
研究概要

シスプラチンは、強力な抗腫瘍作用を有するプラチナ製剤であるが、副作用として起こる腎障害のために投薬を中断せざるを得ないケースも多々あり、腎障害を軽減する目的の誘導体開発もされているガン治療には有益な薬剤である。マウスにシスプラチンを腹腔内投与すると、投与後2日目頃より血中のBUNやクレアチニンといった腎障害のマーカーが著しく高値となり、腎障害を呈するようになる。我々は、このようにして作成した腎障害モデルマウスにおいて、シスプラチン投与後に血中に放出されたIL-18とアンギオテンシンIIによって、アルドステロンが産生・有利される結果、シスプラチンの尿中排泄が滞り、シスプラチンが腎臓に長く貯留するために腎障害に陥るというメカニズム(仮説)が考えられた。そこで、今年度は、これらの生理活性物質が産生されるメカニズムについて各種阻害剤を用いて検討した。その結果、キマーゼ阻害剤とACE阻害剤の効果の比較より、IL-18およびアンギオテンシンIIはキマーゼの活性化により産生され、アルドステロンの産生を刺激することが判明した。また、ACE阻害剤はシスプラチン腎障害に対して有効性を示さなかったが、アルドステロン受容体拮抗薬およびキマーゼ阻害剤はシスプラチン腎炎を著明に抑制することが分かった。さらに、AT1受容体拮抗薬はシスプラチン腎障害に対して有効性を示さなかったが、AT2受容体拮抗薬はシスプラチン腎炎を著明に抑制した。以上のことから、キマーゼによって産生遊離されたIL-18がアルドステロンの産生を刺激してシスプラチンの貯留時間を延長するために障害を引き起こしていると考えられた。また、アンギオテンシンIIはAT2受容体を介してシスプラチン腎炎を増悪させるという新しいメカニズムも示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定した通りに計画は進展している。

今後の研究の推進方策

シスプラチンによる腎炎の発現に関わる因子の働きを阻害する薬剤を用いた検討を行い、シスプラチンの副作用を軽減するための薬物療法を提示する。

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公開日: 2013-06-26  

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