研究課題/領域番号 |
22590251
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
上田 晴康 兵庫医療大学, 薬学部, 准教授 (10330458)
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研究分担者 |
田中 稔之 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30217054)
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40509155)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | シスプラチン / 急性腎障害 / IL-18 / アルドステロン / キマーゼ / アンギオテンシンII / AT2受容体 |
研究概要 |
シスプラチンは、強力な抗腫瘍作用を有するプラチナ製剤であるが、副作用として起こる腎障害のために投薬を中断せざるを得ないケースも多々あり、腎障害を軽減する目的の誘導体開発もされているガン治療には有益な薬剤である。 マウスにシスプラチンを腹腔内投与すると、投与後2日目頃より血中のBUNやクレアチニンなどの腎障害のマーカーが著しく高値となり、投与3日目には急性腎障害によると思われる死亡例の増加を認めた。一方で、IL-18遺伝子欠損マウスにシスプラチンを投与しても急性腎障害は起こらなかった。これまで、シスプラチン腎炎の背景にあるメカニズムとしてTNFαをはじめとするサイトカインの関連が示唆されてきたが、本研究ではシスプラチン投与後に血中での有意なIL-18、アンギオテンシンIIおよびアルドステロンレベルの上昇を認めた。そこで、これらの生理活性物質がシスプラチン腎炎にどのような関わりがあるかについて各種阻害剤を用いて検討した。 シスプラチン投与によりIL-18およびアルドステロンの血中レベルの上昇とマウスの死亡率には相関があり、キマーゼ阻害剤およびアルドステロン受容体拮抗薬によってシスプラチン腎炎は著明に抑制されたことから、キマーゼの活性化により産生されたIL-18が、アルドステロンの産生を誘導することによって腎でのシスプラチンの貯留時間を延長させることで炎症を引き起こす事がシスプラチン腎炎の主要なメカニズムであると示唆された。一方、アンギオテンシンIIはシスプラチン投与によるアルドステロンの上昇には関与しないこと、さらに、ACE阻害剤およびAT1受容体拮抗薬はシスプラチン腎炎に対して何ら有効性を示さなかったが、AT2受容体拮抗薬はシスプラチン腎炎を著明に抑制したことから、アンギオテンシンIIはAT2受容体を介してシスプラチン腎炎を増悪させるという新しいメカニズムも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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