Hepatic PPARγ-Dependent gene 1 and 2 (HPD1及びHPD2)遺伝子は、正常の肝臓においては低発現であるが、ob/obマウスの脂肪肝には高発現している。さらに、PPARγのノックアウトマウスにおいては、その発現が低下するため、PPARγによって制御されていることが推測される機能未知遺伝子である。本年度は、特にHDP1遺伝子の脂肪肝特異的な発現メカニズムの解明のため、5'上流域の解析を行った。 1)転写開始点の決定 ob/obマウスの脂肪肝からcDNAを合成し、RACE法により両遺伝子の転写開始点を決定した。両遺伝子のプロモーター配列をデータベースで検索したとろ、推定上のPPARγ結合配列を見出した。 2)レポータープラスミドの作製 HPD1遺伝子のプロモーター領域に対するディリーションルシフェラーゼプラスミドをマウスゲノムDNAからPCR法により作製した。これらのレポータープラスミドを用いた実験の結果、HPD1遺伝子のプロモーター領域にPPARγ特異的リガンドrosiglitazone応答性、PPAR-responsive element (PPRE)様の配列を見出した。 これらの結果より、HPD1遺伝子の脂肪肝特異的な発現メカニズムとして、脂肪肝において発現が上昇しているPRARγがHPD1遺伝子のプロモーター領域に存在するPPREに結合することにより直接的にその発現を制御していることが示唆された。現在、HPD2遺伝子についても同様に検討中である。
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