研究課題
腸管出血性大腸菌O157感染症の予防のためのワクチンを作成することを目的とした。腸管出血性大腸菌0157が産生するベロ毒素2型(Stx2)のレセプター結合部位であるStx2Bサブユニットの遺伝子をMycobacterium bovis BCGワクチン株に発現させ、これをワクチンとして用いることにより生体内でStx2Bサブユニットに対する血中IgG、および腸管の分泌型IgAを産生させようとした。BCG株での発現ベクターとして、Mycobacterium kansasiiのα抗原遺伝子を有するベクターを用い、Stx2Bサブユニット遺伝子をベクターに組み込み、組み換えプラスミドを構築した。組み換えプラスミドをBCGに導入して形質転換し、イムノブロットによりこの組み換えBCGがα抗原との融合タンパク質としてStx2Bを発現することを確認した。このStx2B発現BCGをマウスに免疫すると、2回目の追加免疫から2週間後に血中の抗Stx2B-IgGレベルが上昇し、4週間後に糞便中の抗Stx2B-IgAレベルが上昇した。対照マウスは、強力な致死活性を有するStx2dを産生する大腸菌091:H21 B2Fl株の感染により、すべて死亡したが、組み換えBCGを免疫されたマウスは、半数以上が生存した。また、このワクチンの有効性は、消化管におけるIgAレベル上昇作用によるところが大きいと考えられた。これらの結果から、Stx2B発現BCGの有効性がマウスモデルで確認された。一方、組み換えBCGワクチンの基盤となるBCG株の性状解析を昨年度に引き続き行なった。現行のBCGワクチンロット中の多様性の全体像が明らかになったとともに、その中の特定の変異を持つサブタイプのポピュレーションが変化するメカニズムの一部が推定された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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