研究課題/領域番号 |
22590257
|
研究機関 | 防衛医科大学校 |
研究代表者 |
伊藤 敬一 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 准教授 (90260091)
|
研究分担者 |
尾田 高志 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 講師 (90531187)
|
キーワード | 薬理学 / 腎臓 / 閉塞性腎症 / αリポ酸 / エリスロポエチン / 間質線維化 / 尿細管アポトーシス |
研究概要 |
(1)ラット閉塞性腎症モデルにおけるαリポ酸の効果 a)閉塞性腎症モデルの作成と薬剤の投与:SDラットを用い閉塞性腎症モデルを作成。尿管結紮後14日目に両側腎臓を摘出した。αリポ酸投与群(L群)は尿管の結紮の前日から経口投与を開始し連日投与した。またコントロール群(C群)も同様に作成した。b)腎組織中のTGF-β1の測定:腎組織中のTGF-β1の測定をELISAで行いL群において有意にTGF-β1の濃度が低いことが確認された。c)免疫組織学的検討:腎間質の線維化をMasson Trichrome染色で評価したところ、L群において有意に間質の線維化が少ないことが確認された。また、FSP-1染色を行い、L群において線維芽細胞の発現が有意に少なくなることが確認された。d)Real-time PCR:現在L群およびC群の腎組織からRNAを抽出した。今後RT PCRを行い、抗酸化作用のマーカーの変化につき両群で検討する。 (2)ラット閉塞性腎症モデルにおけるエリスロポエチン(EPO)の効果 a)閉塞性腎症モデルの作成と薬剤の投与:SDラットを用い、閉塞性腎症モデルを作成した。尿管結紮後14日目に両側腎臓を摘出した。EPO投与群(E群)とコントロール群(C群)で実験を行った。b)免疫組織学的検討:腎間質の線維化をMasson Trichrome染色で評価した。E群において有意に間質の線維化が少なく、EPOが間質の線維化を抑制することが確認された。さらにFSP-1染色を追加する。今年度はssDNA染色におけるアポトーシスの評価と、炎症性細胞浸潤の評価を行う。c)閉塞性腎症におけるEPOおよび受容体の蛋白発現の変化:閉塞性腎症により一時的にEPOの発現が上昇する印象を得ている。EPOとEPO受容体の腎組織における発現の経時的変化をウエスタンブロットおよび免疫染色で確認する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
αリポ酸を用いた研究はおおむね順調に進んでいるが、αリポ酸の抗酸化作用を証明することが難しく、その部分で多くの時間を費やしている。またエリスロポエチンを用いた研究においては、エリスロポエチンの抗線維化作用は証明できたものの、似かよった研究成果が医学雑誌に発表されたため、さらに新しい知見を得るために努力している。
|
今後の研究の推進方策 |
αリポ酸を用いた研究は、抗酸化作用の証明ができれは完結できると考えている。免疫染色、ウエスタンブロットによる検討では現時点で良好な結果が得られていないが、研究分担者の尾田のラボにおいてはreal-time PCRによる実験系が軌道に乗っており、その手法を用いてαリポ酸の抗酸化作用を証明したい。 エリスロポエチンを用いた検討では、ポジティブデータは得られているが、似かよった実験系の論文が最近、医学雑誌に掲載され、新しい知見を追加する必要がある。このための方法として、腎組織におけるエリスロポエチンおよびエリスロポエチン受容体の発現の経時的変化を検討に加えるととにより、この研究の完結への突破口としたい。
|