CL-P1は膜結合型コレクチンで自然免疫機能、スカベンジャー受容体機能を有していることから生体防御に直接関わることを明らかにしてきた。しかしながら、近年、ゼブラフィッシュの受精卵を用いた遺伝子発現抑制により、血管形成不全、体幹形成遅延を示すこと、さらにノックアウトマウス作製において胚発生早期の胎生致死を示すことを見出し、これまでのコレクチンやスカベンジャー受容体の概念を超えた新たな機能を有した分子であることが示唆された。そこで、初期胚を用いた発生における役割解明をするとともに、血管形成における役割や個体形成後の機能について解明することを目的として研究を行っている。 1、受精後のCL-P1発現の把握 正常マウスを用いた体外受精の後、CL-P1のmRNAレベル(定量PCRによるmRNA定量)、タンパク質レベル(組織切片を用いた免疫組織染色)での検討によりCL-P1の発現動態の把握を試み、受精の直後より発現誘導がおこることを明らかにした。 2、CL-P1ヘテロ接合体配偶子の体外受精による胎生致死時期決定 胚の成長分化過程の形態学的観察、成長休止胚の遺伝子型解析を1と同様の方法により行い、ノックアウト胚の胎生致死時期の決定を行った。CL-P1遺伝子ヘテロマウスを用いて、体外受精を行い、in vitroで、その成長分化を顕微鏡下で観察し、致死胚については、遺伝子の情報を調べ、CL-P1遺伝子ホモ欠損胚かどうかを明らかにした。これら観察、検討によりどこまで成熟分化が可能であるか判断したところ、着床以前に致死に至ることを明らかにした。
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