本年度はDnm3os KOマウスで認められた骨低形成等の異常がDnm3osから生成する4つのmicro RNAのうちいずれによってもたらされるのかを各microRNAないしそれらを組み合わせたノックイン動物を作成することによって明らかにすることを試みた。その結果、miR-199とmiR-214を両方ノックインした動物を作成することができた。表現型の解析を行ったところ、両者ともにノックインした場合、椎骨の融合や標準体重など、表現型の回復が認められたことから、ノックアウトしたmicro RNAが表現型の変化に責任があることの確証を得ることができた。Micro RNAが組織形成に寄与していることがより明確になった点で意義深い。薬剤耐性マーカを用いたmicro RNAの標的遺伝子のスクリーニングについてはES細胞のスクリーニング法を応用してマウスP19細胞を用いて複数種薬剤耐性タンパク質の発現量の減少に伴う細胞の生存率を指標に検索することとしたが、モデル遺伝子の場合でも細胞が死滅する傾向にあり、ライブラリ遺伝子の導入には至っていない。細胞種のMEFへの変更等を検討している。データベースを用いた候補遺伝子の検索については、Sanger研究所、EMBL-EBI、miRNA Mapなどの複数の検索サイトで共通してターゲットと予想ざれるものを選び、Sirt1、FGFRI、Activin R1B/2Bを含む20遺伝子ほどが選ばれており、ノックアウト動物での発現について解析を進めることとした。PTENおよびIGFシグナル経路への関与についてはKOマウスのMEFを用いて解析したが、AKTのリン酸化量に有意な変化は認められず、本シグナル経路の関与は可能性が低いと考えられた。
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