研究課題
ヒトES細胞は、体を構成する全ての細胞種に分化する能力及び多分化能を保持したまま、培養下で無制限に増殖できる株細胞である。このような特性から、将来ヒトES細胞を用いた再生医療への展開が期待されている。また近年ヒト体細胞からiPS細胞というES細胞と極めて似た性質を持つ細胞の作出法も見出されている。しかしながら、再生医療に賄うべき必要な正常ES/iPS細胞(以下ES細胞と統一して表現する)を大量にどう調達するか、またその分子的基盤を含めて今後明らかにしていく必要がある。本研究ではchemical genetics(化学遺伝学研究法)によるアプローチを用いたヒトES細胞の分子制御機構の理解を目指しており、本研究期間ではそのための土台づくりまでを目標とする。平成22年度はヒトES細胞の未分化・分化状態に対する化合物の効果を、より客観的に評価する指標として、数値化を目指した。数値的な評価が確立できると、より多種の化合物をスクリーニングできるハイスループットスクリーニング(HTS)への発展が可能となる。平成23年度は、この系を用い約1000化合物についてスクリーニングを進めた。その中で比較的類似した化学構造を有する神経伝達物質拮抗剤5種を見出した。さらにこれらの化合物を用いることで、ヒトES細胞の未分化維持増殖にほどんど不可欠であると考えられていたbFGFの代替として機能しうることも見出した。長期間培養された細胞では、未分化ヒトES細胞の特徴をもち、染色体も正常であり、多分化能を有していることも見出した。平成24年度は前年度の結果を詳細に確認するとともに、その成果を国際誌Biochemical and Biophysical Research Communicationsに掲載することができた(DOI: 10.1016/j.bbrc.2013.03.061)。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 未確定 ページ: 未確定
10.1016/j.bbrc.2013.03.061
Nature Communications
巻: 13 ページ: 1236
DOI:10.1038/ncomms2243
http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/j/pr/2012/12/05-nr.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/121205_1.htm