研究課題
基盤研究(C)
本研究は昆虫(Sf9)細胞発現系を用いて、 ヒトの膜タンパク質であるGPCR(Gタンパク質共役受容体)を当該細胞に大量に発現させる。 大量発現させた受容体を精製し、タンパク質としての性質を検討する。 精製したGPCRを用いて特異的な構造認識抗体を作製する。 GPCRと抗体の共結晶を作製する。 受容体の構造をX線回折により解くことを目的とした。GPCRの構造解析は非常に難しく、本研究課題の遂行によりGPCRの構造決定の進展に寄与するものと考えられる。本研究期間に、アンジオテンシン2型受容体(AT2)の大量生産、精製、特異的抗体、および共結晶化に成功した。AT2の大量生産において、5Lの昆虫細胞の培養を行い、FACS解析から約70%のAT2が、またリガンド結合試験から平均80.36pmol/mlのAT2が発現しているのを確認した。大量生産した昆虫細胞を用いた精製系の検討により、5L培養分から約2mgのAT2が精製できるまでに至った。精製したAT2はリポソームに再構成し、特異的構造認識抗体取得の為にマウスへ免疫した。免疫されたマウスの脾臓から免疫細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合することでハイブリドーマを作製し、その中からAT2特異的構造認識抗体のスクリーニングを行なった。1次スクリーニングから96サンプルの候補を、2次スクリーニングから15サンプルが得られた。これらの抗体についてAT2と共結晶化した結果、3つの抗体において微結晶が得られた。このうちの1つについてさらに結晶化の条件を検討した結果、結晶の成長が認められた。この結晶をSPring-8にてX線による回折像の取得を試みたが、分解能が低く構造決定までは至らなかった。これらの結果から、本研究課題の目的は達成されたものと考えられる。今後はGPCR特異的構造認識抗体との共結晶化の条件を更に検討し、AT2の構造を決定したい。
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