【研究目的】本研究では、最近注目されている聴覚・平衡覚の感受-シグナル伝達機構に注目し、遺伝子操作マウスを用いて、 1.活性酸素が難聴に関与することを証明すること、2.聴・平衡覚の感受-シグナル伝達機構における低分子G蛋白質の機能を解明すること、を目的とした。 【研究成果】 1.活性酸素を恒常的に賛成するTGマウスが騒音性難聴を呈し、この難聴の発症が活性酸素消去剤により改善することを発見した。現在、難聴発生のメカニズムを解明中であり、DNAマイクロアレイや質量分析法を用いて、活性酸素が騒音性難聴を引き起こすターゲット分子の同定を進めている。2.難聴を呈するノックアウトマウスの作製に成功した。このマウスは、アクチン代謝の障害により内耳聴覚有毛細胞の脱落を来すことを、内耳器官初代培養、免疫染色、電子顕微鏡を用いて解明した。また、ノックアウト内耳有毛細胞のモデル細胞を、MDCK細胞を用いて確立した(MDCK-KD細胞)。現在、論文投稿準備中である。3.活性酸素産生不全により平衡覚障害を呈するマウスを作製中であり、このマウスを用いて、耳石形成における活性酸素の役割の詳細を解明する予定である。
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