研究課題/領域番号 |
22590272
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松田 永照 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00335481)
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キーワード | ES細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 細胞周期 / DNAメチル化 / 細胞死 |
研究概要 |
胚性幹(ES)の分化や細胞増殖の制御機構を解明することが再生治療への理解や応用に重要である。申請者らは、新規メチル化DNA結合タンパク質をコードするCIBZ遺伝子を欠損した胚性幹細胞株を作製した。興味深いことに、CIBZを欠損したES細胞は野生型のES細胞と培養した場合、細胞数の減少が観察された。本研究では、CIBZがES細胞の増殖に関わる分子的メカニズムを明らかにする。 ES細胞の増殖は細胞周期(特にG1/S期の移行)により制御されていることが知られている。野性型のES細胞と比較した場合、CIBZを欠損したES細胞は未分化状態を維持しているが、細胞の増殖が遅れていることが分かった。この増殖の遅延はG1期からS期へ移行の細胞数の割合が減少することによるものと判明した。その一方で、ES細胞にCBZを過剰発現させた場合、ES細胞の増殖が亢進し、G1期からS期へ移行の細胞数の割合が増加していることが分かった。Nanogというタンパク質がES細胞の増殖及びG1/S期の移行に重要であることが報告されている。詳細な解析を行った結果、CIBZがES細胞の増殖を制御するメカニズムはNanogタンパク質の発現に依存することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CIBZはES細胞の分化のみならず、細胞の増殖にも重要であることを明らかにしたことで研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、 CIBZはES細胞の増殖及び分化に影響するメカニズムをさらに詳細に解析する。 ノックアウトマウスの作製がうまくいかなかったため、コンディショナルターゲティングベクターを完成させてから再度ノックアウトマウスを作製する。
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