研究課題
ライディッヒ細胞の単離・培養法の確立;ライディッヒ細胞特異的にGFPを発現する複数のトランスジェニックマウスの作出を行い、GFP陽性細胞(ライディッヒ細胞)のセルソーターによる分取を試みた。その結果、GFPはライディッヒ細胞に特異的に発現するものの、その蛍光強度はセルソーターによる細胞分取には不十分であった。そこで、精巣を構成する全ての細胞から密度勾配遠心によりライディッヒ細胞のみを単離する方法の確立を試みた。その結果、90%以上の純度でライディッヒ細胞を単離し、その性質を保ったまま培養することに成功した。クロマチン免疫沈降法によるAd4BP/SF-1遺伝子のライディッヒ細胞特異的エンハンサーの同定;上記の方法で単離したライディッヒ細胞を用いて、全ゲノムレベルでのエンハンサーの同定を行った。エンハンサーの同定は、エンハンサーの目印となるヒストン修飾・ヒストンバリアント等を認識する抗体を用いたChIP-Sequenceにより行った。これまでに、いずれもエンハンサーのマークとして報告されているH3K4mel,H3K27Ac,H2A.Z,およびAd4BP/SF-1の抗体を用いたChIP-Sequenceを行い、Ad4BP/SF-1遺伝子内のライディッヒ細胞特異的エンハンサーの候補領域を明らかにした。エンハンセオソームの固定;ライディッヒ細胞におけるAd4BP/SF-1遺伝子の発現は、Ad4BP/SF-1が自身の遺伝子領域内のエンハンサーに結合することにより制御されている可能性が示唆された。そこで、Ad4BP/SF-1を足場として形成される複合体の精製を行ったところ、いくつかの興味深い複合体が得られた.Ad4BP/SF-1は細胞外からのさまざまな刺激に応答して機能することが知られているが、Ad4BP/SF-1複合体の構成因子も刺激に応答して変化することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
実験材料となる高純度のライディッヒ細胞の単離・培養に成功した。この細胞から調製したクロマチンを用いてChIP-Sequenceを行うことにより、ライディッヒ細胞特異的エンハンサーの候補を同定した.さらにAd4BP/SF-1遺伝子内に存在するライディッヒ細胞特異的エンハンサーにはAd4BP/SF-1自身が結合しその活性を制御する可能性を示唆するデータが得られた。このように、本研究は研究計画に従いおおむね順調に進展している。
Ad4BP/SF-1遺伝子のライディッヒ細胞特異的エンハンサーの機能解析;これまでにAd4BP/SF-1遺伝子内にエンハンサー候補領域を同定した。そこで、この領域がたしかに機能を持つことをトランスジェニックマウスを用いたin vivoの解析で明らかにする。エンハンセオソームの構成因子の同定;昨年度までの研究で、ライディッヒ細胞特異的エンハンサーに結合すると考えられる複合体の精製を行うことが出来た。今年度は複合体の構成因子を全て明らかにすることにより、複合体の実体、およびその機能発現機構の解明を目指す。
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Endocrinology
巻: 153 ページ: 417-425
巻: 153 ページ: 913-924
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/seisaseibutu/project.html