研究課題/領域番号 |
22590275
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
奥田 晶彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)
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研究分担者 |
加藤 英政 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50292123)
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キーワード | ES細胞 / c-Myc / Max / 未分化性 / 自己増殖性 / 多分化能 / Myc module活性 / Core module活性 |
研究概要 |
c-Myc転写因子は、Oct3/4転写因子と同様、ES細胞の未分化性維持において、必須な因子である。但し、c-Myc転写因子が、どのようにして、その生物学的機能を達成しているかに関しては全く明らかになっていない。c-Myc転写因子のES細胞における機能の分子メカニズムを探ることを目的に、c-Mycが機能する上で必須なパートナー因子であるMaxタンパク質をコードする遺伝子をホモでノックアウトすると同時に、ROSA26遺伝子座に、tet offシステムと伴にMax cDNAを導入した。そして、その細胞に、ドキシサイクリンを添加することにより、Max遺伝子の発現を完全に消失させたところ、ES細胞は、未分化性を失うとともに、激しい細胞死が躍起されることを明らかにした。また、阻害剤を用いた実験から、このMax-null ES細胞における細胞死は、Caspase-3依存的なアポトーシスであることが明らかになった。DNAマイクロアレーを用いた解析から、Max遺伝子の発現の消失に伴い、Myc moduleに属する遺伝子群の発現を抑え、また、興味深いことには、Oct3/4、Nanogといったpluripotencyタンパク質により規定されているCore module遺伝子群の発現は、Max遺伝子発現のレベルを低下させてた直後においては、その活性を高めていることが明らかになった。これは、c-Myc/Max転写複合体が機能できなくなった状態においても、未分化状態を保とうとするES細胞の代償的な応答である考えられる。但し、Max遺伝子発現を消失させた後、4日以上経過すると、Core module activityもMyc module activityの低下に引きずられる形で、負に転ずることが明らかになった。また、Gene Ontology解析から、Max-null ES細胞の細胞死の原因が、活性酸素を低下させる能力の低下によるのではないかという予備的なデータが得られた。
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