研究課題
ES細胞は、Oct-3/4、Nanogと言った転写因子を中心としたCore モジュールとMycを中心としたMycモジュールと呼ばれる2つの転写サブネットワークの絶妙なバランスの上に成り立っている。但し、この概念は、マウスES細胞がLIFと血清という、古典的な培養条件で培養されているES細胞を用いて得られた研究結果から導き出された結論であり、培養条件を変えた場合でも、このことがES細胞についての普遍の真理であるか否かは今までに検討されたことがなかった。本研究では、その点を検討することを目的として研究を行った。本研究では、Maxタンパク質をコードする遺伝子をホモ欠失させたES細胞を用いて実験を行った。なお、このMaxホモ欠失ES細胞は、Max遺伝子座のホモ欠失に加え、ROSA26遺伝子座にtet offシステムと共にMax cDNAが導入されている。従って、本ES細胞は、テトラサイクリン非存在下では、ROSA26遺伝子座からのMaxの発現が確保できるが、培地にテトラサイクリンを加えることで、Maxの発現が消失する。実際、この系を利用して、様々な培養条件下でのES細胞の未分化性維持にとってのc-Myc活性の必要性をMax遺伝子の発現をコントロールすることで検討した。その結果、予想とおり、LIFと血清を用いる古典的な培養条件下にあるES細胞は、Maxの発現を消失させると、ES細胞としての未分化性を維持することができず、細胞分化とアポトーシスを起こすことが明らかになった。但し、グランドステートというES細胞の新しい培養条件下にあるES細胞は、Max遺伝子の発現をうしなっても、ES細胞としての未分化性には全く影響を及ぼさないことがわかった。なお、Maxホモ欠失ES細胞が示すアポトーシスのフェノタイプは、Sirt1の活性を阻害することである程度緩和させることができることを明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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